[2021/11/23]
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日記【2021年11月23日】 占いは当たるのか
20年くらい前、飲み屋街を歩いて行きつけのスナックへ向かっていると、路上に座っている占い師から「あなた!気になる!見せて!」と声を掛けられて手招きされた。
飲み屋街のあちこちで何度も様々な占い師を見ているが、いつも通るその場所に占い師がいるのを見たのは初めてだった。占い師のほうから声を掛けられたのも初めてだったので、興味が湧いて僕は占い師の前に座った。
自分の名前や生年月日を書いたり、手相を見せたり、一通りのことをしながら誰でも言いそうな軽い悩みを相談して、占い師からは誰でも言いそうな軽いアドバイスを聞いた。
まあこんなものだろうと思いながらも、しばらく話しているうちに僕はなぜかその占い師に気を許して、具体的な話を長々として将来どうなるのかを真剣に相談していた。すると占い師が顔を曇らせて「それなのよねぇ」と言いながら僕の顔をまじまじと見つめてきた。
そしてしばしの沈黙の後、「不思議なんだけど、真っ暗で何も見えないのよ」と言い放った。「あなたが歩いている時から気になったのでじっくり見たかったんだけど、やっぱり何も見えない」
そこで占いは終了し、3000円取られた。
その瞬間はボッタクリかと思ったが、本当に単なるボッタクリなら最後まで無難なことを言ってやり過ごすだろうし、占いを装った詐欺なら開運グッズみたいなものを売りつけてくるだろう。
でもあの時は本当に「何も見えない」で占いは終了し、お互いに気まずい空気のままお金のやり取りをして別れて、僕は行きつけのスナックへ向かった。
今になってあらためて考えると、あの占い師の言っていたことはあながち間違っていない。自分の人生が「真っ暗」だとまでは思っていないが、ものすごく複雑な紆余曲折が多々あり、「何も見えない」は非常に当たっている。
占い師が街角にいるようなシーンをドラマで見る度に、あの占い師を思い出す。あの場所は何度も通っているのに、あの占い師に会ったのは後にも先にもあの時の1回だけ。忘れることのない不思議な出来事。