[2021/12/11]
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日記【2021年12月11日】 番地が無い地域はある
知り合いから、「とあるホームページに会員登録したいのだけど上手く出来ないので教えて欲しい」とのヘルプの連絡が来た。お世話になっている人なので「忙しいんじゃボケ!」とも断れず、時間を作って家にお伺いした。
その知り合いのパソコンからホームページにアクセスして、僕が入力して会員登録を試みるが、何度やってもエラーで再入力を要求してくる。エラー時に表示されている赤文字のメッセージを読むと、どうやら住所の入力が間違っているらしい。氏名も郵便番号も住所も電話番号もメールアドレスも全て間違っていない。変なスペースとか変な環境依存文字とか紛れていないか一文字ずつじっくり見直しても、そういう類も入っていない。しかし、何度も入力し直してもことごとくエラーになる。
もしも僕が自分で使おうと思っていたホームページなら、この時点でスパッと切り捨てる。知り合いにも「こんな欠陥だらけの会員登録システムのホームページなんて使わなくていいだろクソが!」と言い放ちたいのをグッと我慢して優しく「もう諦めませんか?」と提案するのだが、その知り合いはどうしてもそのホームページを使いたいらしく、どうしても会員登録したいらしい。
そんなに苦労してでもそのホームページを使いたい理由は何なのか? 見たところ普通のよくある会社でネット通販もできるようだが、何か特殊な商品を扱っているのだろうか?それとも登録するだけで100万円貰えるとか?とんでもないドエロい写真が公開されているとか?僕には全く理解できない。
結局、その日は登録を諦めたのだが、あらためて僕が自宅で自分のパソコンから試してみることになった。
翌日。僕が自分のパソコンで試しても、エラーになり続けて会員登録できない。正直なところ、知り合いのパソコンやネット環境などに何かしらの問題があるのだろうと疑っていて、僕が自宅で行えばスムーズに行くだろうとと思っていた。しかしそうではなかったようだ。
そのホームページを見るとヘルプセンターがあって電話番号が記載されていたので、電話をした。「オペレーターにおつなぎします。しばらくお待ちください。只今、電話が込み合っております・・・」などと録音メッセージが流れて続けて、保留のまま30分ほど待たされてから、オペレーターにつながった。
会員登録の入力がエラーになると伝えても、「個別の事例についての対応は・・・ヘルプページをご確認いただいて・・・ゴニョゴニョ・・・」と言葉を濁す。その対応は理解できる。ユーザ1人1人の細かい入力ミスにいちいち対応していたらキリがないだろう。それはもちろん充分に理解できる。でも、こちらとしては間違いなく正しくミスなく入力しているはずだし、正直に言うとホームページ側のシステムのエラーも疑っている。
こちらから粘ってお願いをして、その度に「確認しますので少々お待ちください」と言われて少し待たされて、そんなやり取りが繰り返されること数回、ようやくエラーの原因を教えてくれることになった。
こちらの情報を口頭で伝えていく。「名前は・・・、漢字は・・・、住所は・・・」と、そこでオペレーターが質問してきた。
「お客様、ご住所の番地を教えてください。番地です」
確かに、住所の番地は言っていない。「番地?」
「はい!住所は番地まで正確な情報がないと登録できません!」
オペレーターの声のトーンが明らかに上がった。間違いを見つけられた喜びなのだろうか。
しかし、僕は番地を言い忘れたわけではない。登録したい住所に番地は無いのだ。北海道の田舎にはそういう住所の地域がたくさんある。
「いえ、番地、無いんです」
「え?」
「田舎なので、番地、無いんです」
「え?」
「そういうド田舎なんです!」
「・・・あぁ、えーと、少々お待ちください」
そう言って電話はまた保留になった。オペレーターの声のトーンが明らかに下がった。
僕は強めに反論してしまったが、保留時間が10分ほどあり、その間に少し冷静になった。北海道に田舎に住んでいる身としては番地のない住所もあることを知っているが、全国的に見れば特殊なのだろう。でも、番地が付かないのが正式な住所でありそれ以上はどうしようもない。
さて、どうしたものか・・・と思っていると、オペレーターが再登場。
それからオペレーターが色々と説明をしてくれたが、どうやら、住所を入力する際に番地(と判断できるような数字)が含まれていなければ、入力内容が不十分と判断して自動的にエラーを返すようなシステムになっているらしい。
それは理解できるが、それでは番地が無い住所の人はどうすればいいのだ。
「システムでエラーになるなら、口頭で伝えるので、このやり取りで会員登録してください」
「申し訳ありません。必ずホームページから入力して登録していただくことになっております」
「では、あらためてホームページに入力して登録を申し込むので、エラーが出ないようにしてください」
「申し訳ありません。システムで一括管理しておりますので、それは出来ません」
「どうしても貴社のホームページを使いたいのですが」
「それは本当にありがとうございます」
「確実に登録できる方法を教えてください」
「えー、少々お待ちください・・・」
ここでまた保留になり、更に10分ほど待たされる。
「お待たせしました。申し訳ございませんが、返答まで少々お時間をいただけますか?」
「どれくらい?」
「えー、一ヶ月も掛からないとは思いますが・・・」
「ん?え?一ヶ月?」
少し冷静に落ち着こうと思っていた感情がまた沸騰しそうになってきた。これ以上続けるととんでもない暴言を吐いてしまいそうなので、僕の携帯電話番号を教えて、できるだけ早急に解決策を連絡してくれることをお願いして、その場は終了。
およそ一週間後、そのホームページの会社から電話が来て、住所に番地が無い場合の入力方法を教えて貰うことができた。住所に番地が無い場合はこういう記号を付けてこういう風に入力してください、みたいな。それが一般的なルールなのか、そのホームページのシステムに組み込んだ独自のルールなのかは分からないけど、今回の件はとりあえず解決。
でも、番地の無い住所の地域は今でも本当にあるし、そういうド田舎でもネットを使う時代だよ。入力ミスを事前に防ぐ対策は重要だと思うけど、それで使えない人が出て来ちゃうのは困るよねぇ・・・。
その後、知り合いの家にお伺いしてホームページの会員登録に成功!
更にその数日後、知り合いと話す機会があったのであのホームページについて何気なく聞いてみたら、「なんかもう面倒臭くなったから使ってない」だってさ。
いやいや、僕が苦労して聞き出したのだし、相手のオペレーターだって色々と苦労しただろうし、全てアンタの為にみんながやってきたことなんだから使えよ!
ホームページの会社に問い合わせてた時はオペレーターの対応に腹立ってたけど、今はオペレーターに謝罪してから一緒に酒を飲み交わしたい気分。