僕は身体に麻痺があって動きづらいので、外出する時は杖を持っている。
そのせいだろうが、年を取った老人だと思われることがたまにある。外出して人から話しかけられる時に「おじいちゃん」と呼ばれることもある。しかし僕はそこまでの年齢ではない。もう若くはないが、「おじいちゃん」なんて呼ばれるほどの老人ではない。
だが、杖で歩いてる姿を見ただけで「おじいちゃん」だと決め付けてくる人が多い。
まぁ、「おじいちゃん」と思われても、年齢を間違われも、それについては別にいい。ちょっとイラっとはするけど、苦笑いしながら訂正すればいい。
本当に心の底から嫌なのは、「おてつだい~しましょ~か~」とか、「だいじょ~ぶか~い?」とか、年配の人に話しかける時によくある特有のあの甘ったるくて気持ち悪いタメ口だ。
お店に寄ると、あの甘ったるいタメ口でゆっくり話してくる店員とかスタッフが結構いる。中には、僕の顔を覗き込んで目を合わせて満面の笑顔で大きな声で甘ったるいタメ口で超ゆっくり話してくる人もいる。良かれと思って聞きやすいようにやってるつもりなのだろうが、僕の顔をそんなに覗き込んだら、おおよその年齢が分からないか?僕の顔はシワシワか?老人に見えるか?もしかして顔を覗き込んで目を合わせてるポーズをしてるだけで実際には何も見えてないのか?
むちゃくちゃ聞きづらいし、馬鹿にされてるような気分になって腹も立ってくる。本当に心の底から嫌。大嫌い。
そういう時には、僕の方からわざと早いレスポンスで早口でベラベラと話して、普通に会話できることを見せる。それで気付いて話し方を変えてくるスタッフもいるし、それでも話し方を全く変えないスタッフもいる。全く変えてくれない時は、そのスタッフの顔と名前を覚えて、そのスタッフにはもう二度と近づかないようにして、「お前は自分で仕事できてるつもりだろうが全然できてねーよ!無能が!」って心の中で蔑む。
入院していた時も、僕は最初は身体が全然動かなかったので、寝たきり人の病棟にいた。僕以外は全員寝たきりの老人。そこでも、あの甘ったるいタメ口で話してきた看護師がたくさんいた。病院に入院しているんだから僕の名前とか年齢とか全て確認して分かってるはずなのに、切り替えられないんだろうな。
なんなんだあの話し方は。心底気持ち悪い。そして聞きづらい。普通に話してくれたほうが聞きやすい。
そもそも世の中の年配の人は、あの甘ったるいタメ口でゆっくり話し掛けられて本当に聞きやすいのだろうか?諦めて仕方なく我慢してる人もいるのではないだろうか?
僕も年を取ったら聞きやすくなるのだろうか?
謎だ。